GIのアニメーションについて
GIのアニメーションについて
こんにちは、講師の冨士です。
講習中に、「GIのアニメーションをレンダリングするにはどのような設定を使ったらいいか」という質問を受けました。
GIのアニメーションをテストするには非常に時間がかかり、また現在のCINEMA 4Dは多くのGIモードとGIパラメーターを持っているため、全てを十分にチェックするというのは不可能です。しかし2日間程実験するうちに、ある程度の「傾向」や「おすすめ」がわかってきたのでとりあえずここにまとめておきます。
---
まずGIのアニメーションに使えるGIモードは「IR(静止画)」、「IR(カメラアニメーション)」、「Skyサンプラー」の三つだけです。他の「QMC」や「IR+QMC」モードは、少なくとも私には実用的な使い方がわかりませんでした(理由は下記参照)。
1. CINEMA 4Dの基本となるGIモードは「IR(静止画)」です。GIのアニメーションもまずこのモードでレンダリングすることを考えて下さい。レンダリングが1枚1枚完結しているので、オブジェクトやライトが動いても問題ありませんし、もちろんNETも使えます。
2. 次に、もしシーンの中のオブジェクトやライトが全く変化せず、ただカメラだけが移動するアニメーション(カメラアニメーション)を作る場合は、「IR(カメラアニメーション)」モードを選択して下さい。
ただし、このモードでは全フレームを通してGIキャッシュをレンダリングする必要があるので、各フレームをバラバラにレンダリングするNETは使えません。それでも、コンピューター10台のNETを使って「IR(静止画)」モードでレンダリングした場合に比べて、ちらつきのないアニメーションを、1台のコンピュータでより短時間のうちにレンダリングできます。
3. 次に、もし「Skyサンプラー」モードが使えるようなシーンであれば、これを選択して下さい。Skyサンプラーは、「IR(静止画)」に比べてはるかに高速で、ちらつきがなく、オブジェクトの動きやSkyの変化が正しく反映され、しかもNETも使えます。
ただし、Skyサンプラーには「Sky以外のGIが計算されない」とか、「SkyのGIも1回しか計算されない」といった大きな制限があります。
---
次に、GIのアニメーションを作る時の作業の詳細について説明します。
1. 「IR(静止画)」モードを使う場合、どうしてもフレーム間のちらつきが発生します。これを実用的なレベルに抑えるには、GIのパラメータを最適化し、より強力なNETを使うしかありません。
ただし、「IR(静止画)」モードは非常にシンプルで、NETを強力にすればその分速くなります。また、NETを実行すればすぐに1枚目の絵が出てきます。また、シーンを変更して指定したフレームだけ上書きする、といった作業も自由にできます。
つまり、「IR(静止画)」モードには、「NETを高速化しやすい」、「設定ミスが発生しにくい」、「シーンの修正に柔軟に対応できる」といったメリットもあるのです。したがって、私は欲張らずに「IR(静止画モード)」でがんばることをお勧めします。
2. 「IR(カメラアニメーション)」モードを選択した場合、NETは使えません。しかし、実際の業務において、最初から最後まで1カットでアニメーションを作ることはまずありません。普通は多くのカットに別れていて、カットごとにシーンファイルを分けて作ります。
ですから、もしNETにぶら下がったコンピューターに、カットごとに分散してレンダリングを実行させられれば、NETを有効に使えます。つまりNETクライアント1はカット1を連続して全部レンダリングする、NETクライアント2はカット2を連続して全部レンダリングする、という具合にです。
ところが現在のNETはこのような運用法に対応していません。つまり、現在のNETはカット1もカット2もフレーム単位でバラバラにしてレンダリングするのです。しかし、この問題を解決する裏技があります。
まず、NETクライアント1だけを起動し、カット1のレンダリングをスタートします。この場合NETサーバーは作業を分割できないので、NETクライアント1に対して「カット1を連続して全部レンダリングしろ」と命令します。
そして、ここでNETクライアント1のネット接続を切ってしまいます。すると、NETクライアント1はサーバーとの連絡が途絶えるので、次の命令が来るまで現在の命令を忠実に実行し続けます。
次に、カット1のレンダリングを停止し、NETクライアント2だけを起動し、カット2のレンダリングをスタートします。この場合NETサーバーは作業を分割できないので、NETクライアント2に対して「カット2を連続して全部レンダリングしろ」と命令します。
そして、ここでNETクライアント2のネット接続を切ってしまいます。すると、NETクライアント2はサーバーとの連絡が途絶えるので、次の命令が来るまで現在の命令を忠実に実行し続けます。
以下、同じように指定します。
レンダリングが終了した画像は、ネットワークを使わずに外付けHDなどを使ってNETクライアントの作業フォルダから直接回収します。ちょっと面倒ですが、このような特殊なケースでは有効な方法です。
講習中に、「GIのアニメーションをレンダリングするにはどのような設定を使ったらいいか」という質問を受けました。
GIのアニメーションをテストするには非常に時間がかかり、また現在のCINEMA 4Dは多くのGIモードとGIパラメーターを持っているため、全てを十分にチェックするというのは不可能です。しかし2日間程実験するうちに、ある程度の「傾向」や「おすすめ」がわかってきたのでとりあえずここにまとめておきます。
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まずGIのアニメーションに使えるGIモードは「IR(静止画)」、「IR(カメラアニメーション)」、「Skyサンプラー」の三つだけです。他の「QMC」や「IR+QMC」モードは、少なくとも私には実用的な使い方がわかりませんでした(理由は下記参照)。
1. CINEMA 4Dの基本となるGIモードは「IR(静止画)」です。GIのアニメーションもまずこのモードでレンダリングすることを考えて下さい。レンダリングが1枚1枚完結しているので、オブジェクトやライトが動いても問題ありませんし、もちろんNETも使えます。
2. 次に、もしシーンの中のオブジェクトやライトが全く変化せず、ただカメラだけが移動するアニメーション(カメラアニメーション)を作る場合は、「IR(カメラアニメーション)」モードを選択して下さい。
ただし、このモードでは全フレームを通してGIキャッシュをレンダリングする必要があるので、各フレームをバラバラにレンダリングするNETは使えません。それでも、コンピューター10台のNETを使って「IR(静止画)」モードでレンダリングした場合に比べて、ちらつきのないアニメーションを、1台のコンピュータでより短時間のうちにレンダリングできます。
3. 次に、もし「Skyサンプラー」モードが使えるようなシーンであれば、これを選択して下さい。Skyサンプラーは、「IR(静止画)」に比べてはるかに高速で、ちらつきがなく、オブジェクトの動きやSkyの変化が正しく反映され、しかもNETも使えます。
ただし、Skyサンプラーには「Sky以外のGIが計算されない」とか、「SkyのGIも1回しか計算されない」といった大きな制限があります。
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次に、GIのアニメーションを作る時の作業の詳細について説明します。
1. 「IR(静止画)」モードを使う場合、どうしてもフレーム間のちらつきが発生します。これを実用的なレベルに抑えるには、GIのパラメータを最適化し、より強力なNETを使うしかありません。
ただし、「IR(静止画)」モードは非常にシンプルで、NETを強力にすればその分速くなります。また、NETを実行すればすぐに1枚目の絵が出てきます。また、シーンを変更して指定したフレームだけ上書きする、といった作業も自由にできます。
つまり、「IR(静止画)」モードには、「NETを高速化しやすい」、「設定ミスが発生しにくい」、「シーンの修正に柔軟に対応できる」といったメリットもあるのです。したがって、私は欲張らずに「IR(静止画モード)」でがんばることをお勧めします。
2. 「IR(カメラアニメーション)」モードを選択した場合、NETは使えません。しかし、実際の業務において、最初から最後まで1カットでアニメーションを作ることはまずありません。普通は多くのカットに別れていて、カットごとにシーンファイルを分けて作ります。
ですから、もしNETにぶら下がったコンピューターに、カットごとに分散してレンダリングを実行させられれば、NETを有効に使えます。つまりNETクライアント1はカット1を連続して全部レンダリングする、NETクライアント2はカット2を連続して全部レンダリングする、という具合にです。
ところが現在のNETはこのような運用法に対応していません。つまり、現在のNETはカット1もカット2もフレーム単位でバラバラにしてレンダリングするのです。しかし、この問題を解決する裏技があります。
まず、NETクライアント1だけを起動し、カット1のレンダリングをスタートします。この場合NETサーバーは作業を分割できないので、NETクライアント1に対して「カット1を連続して全部レンダリングしろ」と命令します。
そして、ここでNETクライアント1のネット接続を切ってしまいます。すると、NETクライアント1はサーバーとの連絡が途絶えるので、次の命令が来るまで現在の命令を忠実に実行し続けます。
次に、カット1のレンダリングを停止し、NETクライアント2だけを起動し、カット2のレンダリングをスタートします。この場合NETサーバーは作業を分割できないので、NETクライアント2に対して「カット2を連続して全部レンダリングしろ」と命令します。
そして、ここでNETクライアント2のネット接続を切ってしまいます。すると、NETクライアント2はサーバーとの連絡が途絶えるので、次の命令が来るまで現在の命令を忠実に実行し続けます。
以下、同じように指定します。
レンダリングが終了した画像は、ネットワークを使わずに外付けHDなどを使ってNETクライアントの作業フォルダから直接回収します。ちょっと面倒ですが、このような特殊なケースでは有効な方法です。
Last edited by tofuji on 2011年6月14日(Tue) 21時42分, edited 1 time in total.
Re: GIのアニメーションについて
GIのアニメーションに関して、さらに補足します。
私は照明基礎の講座の中で、GIパラメータに関して「拡散反射回数」、「ストカスティックサンプル」、「レコード密度」、「オーバーサンプリング」の4項目しか説明していません。また、これらのGIパラメータに関しても、「内部を開かずに「低」、「中」、「高」の中から選ぶだけで十分だ」と書いています。さらに、「他のパラメータには触るな」とも言っています。
しかし、GIのアニメーションを作る場合は、ちらつきを抑えるためにさらに2つの設定を変えた方がいいようです。また、「GIポータル」や「オーバーサンプリング」に関してもより詳細で適切な設定が必要になります。
1. まず「レコード密度」の中の、「半径」と「最小半径」について説明します。
GIのアニメーションを作っていて、どこに一番ちらつきが発生するかというと、それは明るさ(形状)が変化する部分の「周辺」です。つまり、明るさが変化する部分でもなく、変化しない部分でもない、「中途半端」な部分で最もちらつきが発生するのです。
そして、「半径」と「最小半径」の値は次のように使われます。つまり、明るさの変化が少ない部分は「半径」の値で粗く計算され、変化が激しい部分は「最小半径」の値で細かく計算されます。
それでは、変化が「中途半端」な部分はどのように計算されるか、というと、おそらく中途半端に計算されているのでしょう。
GIのアニメーションでちらつきを抑えることを考えると、この「中途半端な部分」をもっと正確に計算してほしいのですが、中途半端な部分を直接指定することはできません。だからこそ、「中途半端」なわけです。
そこで私が考えたのは、計算密度に差をつけず、全体を細かく計算してしまうことです。このようにすれば、中途半端な部分は発生しません。もちろんその分計算時間は長くなりますが、他のパラメーターに比べると「お得」な感じがします。
ただし、GIは初めから「変化する部分を細かく、変化しない部分を粗く」計算するように設計されているので、「半径」と「最小半径」の値を同じにしても全体が均一に細かく計算されるわけではありません。
実際には、たとえばレコード密度の値を「中」にした場合、「半径」の値は「40」、「最小半径」の値は「12.5」になります。ここで、「半径」の値を「8」、「最小半径」の値を「16」と逆転させると、サンプルポイントがより均一になり、レンダリング時間は長くなりますが、その分ちらつきもかなり減ります。
2. 次に、「スムージング」について説明します。
このGIパラメータは、文字通りちらつきを抑えるのに有効です。標準では「中」になっていますが、GIのアニメーションを作る場合は「最強」もしくはそれ以上の値にした方がいいでしょう。
このGIパラメータを大きくしてもレンダリング時間はそれ程変りません。その代わり、強いスムージングをかけると陰影がボケます。
ですから、たとえば細部の描写が重要になる建築パース(静止画)を作る場合などは、むしろスムージングの値を下げるのが普通です。しかしアニメーションの場合、そもそも解像度はHD程度ですし、またカメラやオブジェクトが動けば陰影のボケはほとんどわかりません。「ボケ」よりも「ちらつき」の方がはるかに大きな問題です。
したがって、たとえテーマが建築物であっても、静止画ではなくアニメーションを作る場合は、この値を思いきって大きくすることをお勧めします。
ただし、スムージングの値を大きくすると、陰影のボケがオブジェクトの境界を越えて「光漏れ」のように見える現象が発生します。この問題が気になる場合は、スムージングのモードを「最小二乗」から、「加重平均」に変更してみて下さい。
3. 次に、GIポータル(または発光するマテリアル)について説明します。
講習の中では、必要に応じて複数のGIポータルを置くように指示していますが、GIのアニメーションを作る場合はより厳しくGIポータルを置く必要があります。つまり、太陽に限らず「ちょっとでも明るい部分」にはそれに合わせた大きさとサンプリング数のGIポータルを置いて下さい。
GIポータルを増やすことでレンダリング時間は長くなりますが、確実にちらつきが減ります。逆に、必要なGIポータルを置き忘れた場合、他のパラメーターでそれをカバーするのはほぼ不可能です。
4. 最後に、「オーバーサンプリング」について説明します。
講習では、マテリアルで「オーバーサンプリング」を選択し、レンダリング設定の「オーバーサンプリング」でその値を指定する方法を説明しました。これが一番簡単な方法なのですが、この方法ではマテリアルごとにオーバーサンプリングの値を変えることができません。しかし、GIポータルが増えてきた場合、当然その部分の明るさに応じてオーバーサンプリングの最適値も変ります。
そこで、マテリアルで「オーバーサンプリング」の代わりに「QMCサンプリング」を選択して下さい。なんでこんな名前がついているのか判りませんが、これを選択するとマテリアルごとにオーバーサンプリングの値を変えられるようになります。
ただし、サンプル数の計算方法が全く違っているので、少し大きめの値を入れてその効果を確認して下さい。実際には「64」から「512」といった値を使うといいようです。
私は照明基礎の講座の中で、GIパラメータに関して「拡散反射回数」、「ストカスティックサンプル」、「レコード密度」、「オーバーサンプリング」の4項目しか説明していません。また、これらのGIパラメータに関しても、「内部を開かずに「低」、「中」、「高」の中から選ぶだけで十分だ」と書いています。さらに、「他のパラメータには触るな」とも言っています。
しかし、GIのアニメーションを作る場合は、ちらつきを抑えるためにさらに2つの設定を変えた方がいいようです。また、「GIポータル」や「オーバーサンプリング」に関してもより詳細で適切な設定が必要になります。
1. まず「レコード密度」の中の、「半径」と「最小半径」について説明します。
GIのアニメーションを作っていて、どこに一番ちらつきが発生するかというと、それは明るさ(形状)が変化する部分の「周辺」です。つまり、明るさが変化する部分でもなく、変化しない部分でもない、「中途半端」な部分で最もちらつきが発生するのです。
そして、「半径」と「最小半径」の値は次のように使われます。つまり、明るさの変化が少ない部分は「半径」の値で粗く計算され、変化が激しい部分は「最小半径」の値で細かく計算されます。
それでは、変化が「中途半端」な部分はどのように計算されるか、というと、おそらく中途半端に計算されているのでしょう。
GIのアニメーションでちらつきを抑えることを考えると、この「中途半端な部分」をもっと正確に計算してほしいのですが、中途半端な部分を直接指定することはできません。だからこそ、「中途半端」なわけです。
そこで私が考えたのは、計算密度に差をつけず、全体を細かく計算してしまうことです。このようにすれば、中途半端な部分は発生しません。もちろんその分計算時間は長くなりますが、他のパラメーターに比べると「お得」な感じがします。
ただし、GIは初めから「変化する部分を細かく、変化しない部分を粗く」計算するように設計されているので、「半径」と「最小半径」の値を同じにしても全体が均一に細かく計算されるわけではありません。
実際には、たとえばレコード密度の値を「中」にした場合、「半径」の値は「40」、「最小半径」の値は「12.5」になります。ここで、「半径」の値を「8」、「最小半径」の値を「16」と逆転させると、サンプルポイントがより均一になり、レンダリング時間は長くなりますが、その分ちらつきもかなり減ります。
2. 次に、「スムージング」について説明します。
このGIパラメータは、文字通りちらつきを抑えるのに有効です。標準では「中」になっていますが、GIのアニメーションを作る場合は「最強」もしくはそれ以上の値にした方がいいでしょう。
このGIパラメータを大きくしてもレンダリング時間はそれ程変りません。その代わり、強いスムージングをかけると陰影がボケます。
ですから、たとえば細部の描写が重要になる建築パース(静止画)を作る場合などは、むしろスムージングの値を下げるのが普通です。しかしアニメーションの場合、そもそも解像度はHD程度ですし、またカメラやオブジェクトが動けば陰影のボケはほとんどわかりません。「ボケ」よりも「ちらつき」の方がはるかに大きな問題です。
したがって、たとえテーマが建築物であっても、静止画ではなくアニメーションを作る場合は、この値を思いきって大きくすることをお勧めします。
ただし、スムージングの値を大きくすると、陰影のボケがオブジェクトの境界を越えて「光漏れ」のように見える現象が発生します。この問題が気になる場合は、スムージングのモードを「最小二乗」から、「加重平均」に変更してみて下さい。
3. 次に、GIポータル(または発光するマテリアル)について説明します。
講習の中では、必要に応じて複数のGIポータルを置くように指示していますが、GIのアニメーションを作る場合はより厳しくGIポータルを置く必要があります。つまり、太陽に限らず「ちょっとでも明るい部分」にはそれに合わせた大きさとサンプリング数のGIポータルを置いて下さい。
GIポータルを増やすことでレンダリング時間は長くなりますが、確実にちらつきが減ります。逆に、必要なGIポータルを置き忘れた場合、他のパラメーターでそれをカバーするのはほぼ不可能です。
4. 最後に、「オーバーサンプリング」について説明します。
講習では、マテリアルで「オーバーサンプリング」を選択し、レンダリング設定の「オーバーサンプリング」でその値を指定する方法を説明しました。これが一番簡単な方法なのですが、この方法ではマテリアルごとにオーバーサンプリングの値を変えることができません。しかし、GIポータルが増えてきた場合、当然その部分の明るさに応じてオーバーサンプリングの最適値も変ります。
そこで、マテリアルで「オーバーサンプリング」の代わりに「QMCサンプリング」を選択して下さい。なんでこんな名前がついているのか判りませんが、これを選択するとマテリアルごとにオーバーサンプリングの値を変えられるようになります。
ただし、サンプル数の計算方法が全く違っているので、少し大きめの値を入れてその効果を確認して下さい。実際には「64」から「512」といった値を使うといいようです。
Re: GIのアニメーションについて
それでは、GIのアニメーションを調べるために私が作成したシーンについて説明します。照明基礎で使用したシーンの最後の状態を出発点にしていますが、コントラストが強いので、GIの計算としてはかなり難しい部類に入ります。
また、「レンダリング時間」は「講習会で使っているiMac4台でNETを組んだ場合」に換算してあります。私が使っているMacBookAirは、非力すぎてこのような仕事には向いていません。
1. 「IR(静止画)」モードでのレンダリング
レンダリング時間、NETで約60分。品質、まあまあ。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... _MMH9s.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... S_MMH9.zip
「IR(静止画)」の設定は非常に面倒です。GIの設定だけではどうにもならないので、GIポータルや補助ライトを追加し、全体の設定を最適化する必要があります。一つのパラメータがおかしい場合、他のパラメーターをどんなにいじっても、決して「ちらつき」は無くなりません。
結局、このシーンではGIポータルの数を4枚に増やしました。また、GIポータルも「オーバーサンプリング」から「QMCサンプリング」に切り替え、「高(256)」と「低(64)」の2種類に分けています。
レコード密度は「半径」を「8」、「最小半径」を「16」と逆転させています。
補間方法は、光漏れを無くすために「加重平均」に切り替え、スムージングの程度を「最強」にしています。
それ以外の部分はいじっていません。
2. 「IR(カメラアニメーション)」モードでのレンダリング
レンダリング時間、1台で約25分。品質、良好。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... _MMHNs.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... C_MMHN.zip
「IR(カメラアニメーション)」の設定は比較的簡単です。どんなに汚い設定にしても、「ちらつき」は出ないからです。ただし、ちらつかないとは言っても、汚いままでレンダリングするのはよくありません。
まず「IR(静止画)」モードで数フレームレンダリングし、ちらつきの程度を見ると、GIのパラメータが正しく設定されているかどうかわかります。その後、「IR(カメラアニメーション)」に切り替えてレンダリングするといいでしょう。
3. 「Skyサンプラー」モードでのレンダリング
レンダリング時間、NETで約25分。品質、まあまあ。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... S_512s.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... SS_512.zip
「Skyサンプラー」の設定は非常に簡単です。そもそもGIポータルやオーバーサンプリングは使えません。また、影もシャープなので、必要がなければ補助ライトも消してしまって構いません。
もし画面の砂状のノイズが気になる場合は、「サンプル数」を「1024」や「2048」に上げてみて下さい。
---
この4日間GIのアニメーションに取り組んでみましたが、現在の私の感触では、多くのアニメーションを上の3種類のGIモードでレンダリングできると思います。そして、そのために重要なのは次の三つです。
1. 絵コンテの段階で、GIが必要なカット(もしくはレイヤ)とそうでないカットをはっきり分け、必要なカットについても、どのGIモードでレンダリングするかあらかじめ決めておく。
一番軽いのはIR(カメラアニメーション)なので、これで問題ないところはこれを使う。また、Skyサンプラーが使える場合はこれを使う。IR(静止画)を使うカットはなるべく少なくし、またGIポータルやオーバーサンプリング、補助ライトなどによって高速化できるように考えておく。逆に言うと、高速化できないようなシーンは絵コンテの段階で削除する。
2. GIポータルや補助ライトを適切に配置し、その上でGIの設定を最適化する。
3. 強力なNET(多数のコンピュータ)を用意する。
上の1と2が十分に実施されても、1台のコンピューターでGIのアニメーションを作成するのは困難です。仕事の規模や予算に合わせたNETが必要になります。
ただし、これは毎日必要になるわけではありません。仕事の時だけ借りてくればいいのです。たとえば学校のコンピュータなど夜間は毎日空いています。そういう意味で、常日頃から周囲の学校や会社といい関係を結んでおくのも、「仕事の一つ」だと思います。
しかしながら、上の1と2が十分に実施されなかった場合、例えコンピューターが1万台あっても十分な品質のアニメーションをGIでレンダリングするのは不可能です。
また、「レンダリング時間」は「講習会で使っているiMac4台でNETを組んだ場合」に換算してあります。私が使っているMacBookAirは、非力すぎてこのような仕事には向いていません。
1. 「IR(静止画)」モードでのレンダリング
レンダリング時間、NETで約60分。品質、まあまあ。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... _MMH9s.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... S_MMH9.zip
「IR(静止画)」の設定は非常に面倒です。GIの設定だけではどうにもならないので、GIポータルや補助ライトを追加し、全体の設定を最適化する必要があります。一つのパラメータがおかしい場合、他のパラメーターをどんなにいじっても、決して「ちらつき」は無くなりません。
結局、このシーンではGIポータルの数を4枚に増やしました。また、GIポータルも「オーバーサンプリング」から「QMCサンプリング」に切り替え、「高(256)」と「低(64)」の2種類に分けています。
レコード密度は「半径」を「8」、「最小半径」を「16」と逆転させています。
補間方法は、光漏れを無くすために「加重平均」に切り替え、スムージングの程度を「最強」にしています。
それ以外の部分はいじっていません。
2. 「IR(カメラアニメーション)」モードでのレンダリング
レンダリング時間、1台で約25分。品質、良好。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... _MMHNs.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... C_MMHN.zip
「IR(カメラアニメーション)」の設定は比較的簡単です。どんなに汚い設定にしても、「ちらつき」は出ないからです。ただし、ちらつかないとは言っても、汚いままでレンダリングするのはよくありません。
まず「IR(静止画)」モードで数フレームレンダリングし、ちらつきの程度を見ると、GIのパラメータが正しく設定されているかどうかわかります。その後、「IR(カメラアニメーション)」に切り替えてレンダリングするといいでしょう。
3. 「Skyサンプラー」モードでのレンダリング
レンダリング時間、NETで約25分。品質、まあまあ。
サンプルムービー
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... S_512s.mov
サンプルシーン
http://www2.11moon.com/sample_files/201 ... SS_512.zip
「Skyサンプラー」の設定は非常に簡単です。そもそもGIポータルやオーバーサンプリングは使えません。また、影もシャープなので、必要がなければ補助ライトも消してしまって構いません。
もし画面の砂状のノイズが気になる場合は、「サンプル数」を「1024」や「2048」に上げてみて下さい。
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この4日間GIのアニメーションに取り組んでみましたが、現在の私の感触では、多くのアニメーションを上の3種類のGIモードでレンダリングできると思います。そして、そのために重要なのは次の三つです。
1. 絵コンテの段階で、GIが必要なカット(もしくはレイヤ)とそうでないカットをはっきり分け、必要なカットについても、どのGIモードでレンダリングするかあらかじめ決めておく。
一番軽いのはIR(カメラアニメーション)なので、これで問題ないところはこれを使う。また、Skyサンプラーが使える場合はこれを使う。IR(静止画)を使うカットはなるべく少なくし、またGIポータルやオーバーサンプリング、補助ライトなどによって高速化できるように考えておく。逆に言うと、高速化できないようなシーンは絵コンテの段階で削除する。
2. GIポータルや補助ライトを適切に配置し、その上でGIの設定を最適化する。
3. 強力なNET(多数のコンピュータ)を用意する。
上の1と2が十分に実施されても、1台のコンピューターでGIのアニメーションを作成するのは困難です。仕事の規模や予算に合わせたNETが必要になります。
ただし、これは毎日必要になるわけではありません。仕事の時だけ借りてくればいいのです。たとえば学校のコンピュータなど夜間は毎日空いています。そういう意味で、常日頃から周囲の学校や会社といい関係を結んでおくのも、「仕事の一つ」だと思います。
しかしながら、上の1と2が十分に実施されなかった場合、例えコンピューターが1万台あっても十分な品質のアニメーションをGIでレンダリングするのは不可能です。
「IR + QMC」が使い物にならない理由
「IR + QMC」が使い物にならない理由について二つ書きます。
1. 確かにフレーム間のちらつきは発生しないが、画質が上がらない(ムラが残る)。
つまり、「画質が低いままスムーズに変化する」変なアニメーションができてしまう。
2. 全てのフレームのGIを先に計算するため、テストレンダリングに時間がかかり、試行錯誤の回数が減る。
実際の仕事では、GIの設定以外にもオブジェクトやマテリアルを入れ忘れたり、切り忘れたりすることがよくあります。
「IR(静止画)」であれば、それは1枚目のレンダリング中に(数分程度で)判りますが、
「IR + QMC(アニメーション)」の場合、それはGIの計算が全て終わって1枚目のレンダリングが始まるまで(数時間後まで)判りません。
これらのGIモードに関しては、確かに「フレーム間のちらつきが発生しない」という利点があるので、
ちらつきが気になる人は使えばいいと思います。しかし、上で説明したような欠点があることをよく覚悟しておいて下さい。
1. 確かにフレーム間のちらつきは発生しないが、画質が上がらない(ムラが残る)。
つまり、「画質が低いままスムーズに変化する」変なアニメーションができてしまう。
2. 全てのフレームのGIを先に計算するため、テストレンダリングに時間がかかり、試行錯誤の回数が減る。
実際の仕事では、GIの設定以外にもオブジェクトやマテリアルを入れ忘れたり、切り忘れたりすることがよくあります。
「IR(静止画)」であれば、それは1枚目のレンダリング中に(数分程度で)判りますが、
「IR + QMC(アニメーション)」の場合、それはGIの計算が全て終わって1枚目のレンダリングが始まるまで(数時間後まで)判りません。
これらのGIモードに関しては、確かに「フレーム間のちらつきが発生しない」という利点があるので、
ちらつきが気になる人は使えばいいと思います。しかし、上で説明したような欠点があることをよく覚悟しておいて下さい。
Re: GIのアニメーションについて
GIのアニメーションについて、最近かなり細かい実験をしたのでその結果を書きます。
シーンファイルやアニメーションは仕事の都合上出せませんが、内容は店舗内観で、仕様はだいたい次のようなものでした。
かなり厳しいです。
ファイルサイズ、63.3MB
オブジェクト数、10,374個
ポリゴン数、2,023,304個
ライト数、49個(全てエリアシャドウ付き)
発光するマテリアル、間接照明機材の裏に多数
ただし、アニメーション中にオブジェクトや照明は変化しない
テクスチャのファイルサイズ、86.6MB
テクスチャ数、339枚
レンダリングサイズ、1,280*720pixel
レンダリングフレーム数、1,980枚
レンダリング設定、詳細は下記参照
ソフトウエア、CINEMA 4D R13.058 studio、MacOSX 10.7と10.8
ハードウエア、MacMini 3台によるNET(合計10コア)
レンダリング時間、合計45時間6分、82秒/1枚
レンダリング前のプレパス計算に約3時間
しかし、結果的には貧弱なNET環境で、1枚当たり82秒という比較的短い時間で
十分きれいなGIのアニメーションを作成することができました。
レンダリング設定も、以下の通りかなりシンプルです。
1. 保存ページ

必ず32bitのフォーマットで保存して下さい。
2. オプションページ

「しきい値」の値を大きくするとレンダリングが速くなります。
デフォルトは「0.1」ですが、絵を見ながら「0.5〜1.0」の範囲で調整するといいと思います。
このパラメータはかなり効きます。
3. フィジカルページ

私はいつも「標準」レンダラーを使っていますが、今回はガラスとぼけた鏡面反射をする材質が非常に多かったので、
例外的に「フィジカル」レンダラーを使いました。
フィジカルレンダラーは、いくら時間をかけても砂目状のノイズが消えません。
下手にサンプリング品質を上げるよりは、「低」のまま解像度を大きくしたほうが結果的にきれいな絵ができると思います。
実は、GIの計算よりレイトレーシングの計算の方が重いので、ここのパラメータが最も重要です
(標準レンダラーの場合は、他に「アンチエイリアス」の設定や「エリアシャドウの精度」なども重要になります)。
4. グローバルイルミネーション(GI)の一般ページ

「GIモード」は必ず「IR(静止画)」にして下さい。内観のシーンでこれ以外のモードは使えません。
「拡散反射回数」は、シーンによりますが「2」回以上にしてください。「1」回だとGIの絵になりません。
内観の場合は「4」回以上にすべきです。
「プライマリ強度」と「セカンダリ強度」のバランスを図のように変えると、GIの効果を強調できます。
逆に言えば、少ない反射回数で十分な「色移り」を表現できるわけです。
どちらにしろ、レンダリング時間全体に占めるGI(プレパス)計算の時間は20〜40%程度なので、
この部分をいくら削ってもレンダリング時間はそんなに短縮されません。
5. GIのイラディアンスキャッシュ(IR)ページ

「ストカスティックサンプル」は、テスト時は「低」、最終レンダリング時は「中」でいいです。
細かく変えても大差ありません。
「レコード密度」の値も、「半径」以外はこの値を使って下さい。
「半径」の値は、画質やレンダリング時間を見ながら「2〜32」の間で変えて下さい。
「スムージング」の値は「最強」にしていますが、ただの気休めです。
「オーバーサンプリング」は、通常はよく使うのですが、今回はシーン内の多くの部分が「間接照明」になっていて、
効果がないので切りました。
オーバーサンプリングは、発光するマテリアルを集中的にサンプリングする手法ですが、間接照明になっていると、
発光するマテリアルが「直接見えない」ので、効果がありません
上記以外のパラメータは全てデフォルトのままでOKです。
6. GIのイラディアンスキャッシュページ

「自動読み込み」。今回一番苦労した点です。
GIモードに「IR(静止画)」を使った場合、一番問題になるのは「画面のふらつき、ちらつき」です。
今回はアニメーション中にオブジェクトや照明が変化しないシーンなので、「IR(カメラアニメーション)」モードを使えます。
カメラアニメーションモードを使えば、「画面のふらつき、ちらつき」は全く発生しません。
しかし、カメラアニメーションモードは全てのフレームに対するプレパス計算を1台のコンピュータで計算しなければなりません。
そして、今回のシーンではこの部分におそらく「40時間程度」の時間が必要でした。
そして、40時間経っても完成しているのはプレパスのみで、「絵」は1枚もできていないのです。
つまり、そのシーンが「絵的に正しい」かどうか確認できないわけです。
もし40時間経ってからNETでレンダリングを開始し、1枚目の絵で「間違い」が見つかったらまた40時間待たなければなりません。
私は今回のアニメーションで、最終レンダリングを開始した後シーンを「6回」修正しました。
もし普通にカメラアニメーションモードを使っていれば、「240時間、つまり10日」が無駄に過ぎたわけで、
事実上プレパスの再計算は不可能です。
また、もし修正が全くなかったとしても、その後NETによるレイトレーシングの計算に30時間程度が必要になるため、
合計すると70時間、つまり1.5倍の時間が必要となります。
そして、この比率はNETの台数が増えるにしたがって大きくなります。
つまり、1,000フレームを超えるアニメーションに「カメラアニメーション」モードを使うのは無理です。
となると、残るのは「GI(静止画)」モードと、「スカイサンプラー」モードの二つです。
しかし、「スカイサンプラー」モードは拡散反射回数が「1」回しか計算できないので、内観のシーンには使えません。
つまり、最後に残るのは「GI(静止画)」モードだけとなります。
ところが、実は「GI(静止画)」モードでもカメラアニメーション的な使い方ができるのです。
それがこの「自動読み込み」オプションです。
自動読み込みオプションをチェックすると、既にあるキャッシュ(プレパス計算の結果、テクスチャのようなもの)に関しては、
再計算せずその照明がそのまま使われます。
つまり、オブジェクトや照明が変化しても照明は変化せず、その代わり「画面のふらつき、ちらつき」も発生しないわけです。
ただし、キャッシュがない部分に関しては各NETクライアントが別個に追加計算するので「画面のちらつき」が発生します。
ということは、全てのフレームに対してプレパス計算を行い、「自動読み込み」オプションをチェックして
「GI(静止画)」モードでレンダリングすれば、原理的には「GI(カメラアニメーション)」モードと同じ絵ができるはずです。
しかし、それでは「40時間待つ」という欠点もそのままなので、今回は「3時間」にしました。
また、シーンを修正した後の再計算は行いませんでした。
このような手法によって、「GI(静止画)」モードと「GI(カメラアニメーション)」モードの中間的な画質の絵を、
どちらのモードよりも短い時間で生成できます。
実際、この「3時間」というのが十分だったのかどうかは私にもよくわかりません。
また、もちろんシーンによって最適値は大きく変わるでしょう。
しかし「3時間」というのが、「作業中に待てる時間の限界」だと私は思います。
---
最後に、アニメーション中にオブジェクトや照明が動く場合、この手法は使えません。
「GI(静止画)」モードで一枚一枚マジメにレンダリングする必要があります。
その場合、レンダリング時間は1枚当たり10分程度に伸びます(約7倍)。また、プレパスの計算が60〜80%ぐらいを占めるようになり、
ちらつきもそれなりに増えてきます。
オブジェクトや照明が動く場合のレンダリング設定は、上記の設定を元に以下のパラメータだけ変えて下さい。
1. GIの一般ページで、「拡散反射回数」を「4」回から「2」回に変更。
2. GIのIRページで、「ストカスティックサンプル」を「中」から「高」に変更。
3. 「最大レート」を「-1」から「0」に変更(「隣接補正を使う」オプションが入っていることを確認して下さい)。
4. 「半径」を「8」から「16」に変更。
5. GIのIRキャッシュページで、「自動読み込み」オプションを外す。
設定をさらに細かくしてレンダリング時間を伸ばせば当然ちらつきは減りますが、
1枚当たり30分ぐらいにしても完全に無くなるわけではありません。
そして、一枚30分というのは既に実用的なレンダリング速度ではありません。
というわけで、オブジェクトや照明が動くシーンに対してGIのアニメーションを作る場合は、
一枚10分の画像でクライアントの了解を取ってから仕事を受ける、方が安全だと思います。
シーンファイルやアニメーションは仕事の都合上出せませんが、内容は店舗内観で、仕様はだいたい次のようなものでした。
かなり厳しいです。
ファイルサイズ、63.3MB
オブジェクト数、10,374個
ポリゴン数、2,023,304個
ライト数、49個(全てエリアシャドウ付き)
発光するマテリアル、間接照明機材の裏に多数
ただし、アニメーション中にオブジェクトや照明は変化しない
テクスチャのファイルサイズ、86.6MB
テクスチャ数、339枚
レンダリングサイズ、1,280*720pixel
レンダリングフレーム数、1,980枚
レンダリング設定、詳細は下記参照
ソフトウエア、CINEMA 4D R13.058 studio、MacOSX 10.7と10.8
ハードウエア、MacMini 3台によるNET(合計10コア)
レンダリング時間、合計45時間6分、82秒/1枚
レンダリング前のプレパス計算に約3時間
しかし、結果的には貧弱なNET環境で、1枚当たり82秒という比較的短い時間で
十分きれいなGIのアニメーションを作成することができました。
レンダリング設定も、以下の通りかなりシンプルです。
1. 保存ページ

必ず32bitのフォーマットで保存して下さい。
2. オプションページ

「しきい値」の値を大きくするとレンダリングが速くなります。
デフォルトは「0.1」ですが、絵を見ながら「0.5〜1.0」の範囲で調整するといいと思います。
このパラメータはかなり効きます。
3. フィジカルページ

私はいつも「標準」レンダラーを使っていますが、今回はガラスとぼけた鏡面反射をする材質が非常に多かったので、
例外的に「フィジカル」レンダラーを使いました。
フィジカルレンダラーは、いくら時間をかけても砂目状のノイズが消えません。
下手にサンプリング品質を上げるよりは、「低」のまま解像度を大きくしたほうが結果的にきれいな絵ができると思います。
実は、GIの計算よりレイトレーシングの計算の方が重いので、ここのパラメータが最も重要です
(標準レンダラーの場合は、他に「アンチエイリアス」の設定や「エリアシャドウの精度」なども重要になります)。
4. グローバルイルミネーション(GI)の一般ページ

「GIモード」は必ず「IR(静止画)」にして下さい。内観のシーンでこれ以外のモードは使えません。
「拡散反射回数」は、シーンによりますが「2」回以上にしてください。「1」回だとGIの絵になりません。
内観の場合は「4」回以上にすべきです。
「プライマリ強度」と「セカンダリ強度」のバランスを図のように変えると、GIの効果を強調できます。
逆に言えば、少ない反射回数で十分な「色移り」を表現できるわけです。
どちらにしろ、レンダリング時間全体に占めるGI(プレパス)計算の時間は20〜40%程度なので、
この部分をいくら削ってもレンダリング時間はそんなに短縮されません。
5. GIのイラディアンスキャッシュ(IR)ページ

「ストカスティックサンプル」は、テスト時は「低」、最終レンダリング時は「中」でいいです。
細かく変えても大差ありません。
「レコード密度」の値も、「半径」以外はこの値を使って下さい。
「半径」の値は、画質やレンダリング時間を見ながら「2〜32」の間で変えて下さい。
「スムージング」の値は「最強」にしていますが、ただの気休めです。
「オーバーサンプリング」は、通常はよく使うのですが、今回はシーン内の多くの部分が「間接照明」になっていて、
効果がないので切りました。
オーバーサンプリングは、発光するマテリアルを集中的にサンプリングする手法ですが、間接照明になっていると、
発光するマテリアルが「直接見えない」ので、効果がありません
上記以外のパラメータは全てデフォルトのままでOKです。
6. GIのイラディアンスキャッシュページ

「自動読み込み」。今回一番苦労した点です。
GIモードに「IR(静止画)」を使った場合、一番問題になるのは「画面のふらつき、ちらつき」です。
今回はアニメーション中にオブジェクトや照明が変化しないシーンなので、「IR(カメラアニメーション)」モードを使えます。
カメラアニメーションモードを使えば、「画面のふらつき、ちらつき」は全く発生しません。
しかし、カメラアニメーションモードは全てのフレームに対するプレパス計算を1台のコンピュータで計算しなければなりません。
そして、今回のシーンではこの部分におそらく「40時間程度」の時間が必要でした。
そして、40時間経っても完成しているのはプレパスのみで、「絵」は1枚もできていないのです。
つまり、そのシーンが「絵的に正しい」かどうか確認できないわけです。
もし40時間経ってからNETでレンダリングを開始し、1枚目の絵で「間違い」が見つかったらまた40時間待たなければなりません。
私は今回のアニメーションで、最終レンダリングを開始した後シーンを「6回」修正しました。
もし普通にカメラアニメーションモードを使っていれば、「240時間、つまり10日」が無駄に過ぎたわけで、
事実上プレパスの再計算は不可能です。
また、もし修正が全くなかったとしても、その後NETによるレイトレーシングの計算に30時間程度が必要になるため、
合計すると70時間、つまり1.5倍の時間が必要となります。
そして、この比率はNETの台数が増えるにしたがって大きくなります。
つまり、1,000フレームを超えるアニメーションに「カメラアニメーション」モードを使うのは無理です。
となると、残るのは「GI(静止画)」モードと、「スカイサンプラー」モードの二つです。
しかし、「スカイサンプラー」モードは拡散反射回数が「1」回しか計算できないので、内観のシーンには使えません。
つまり、最後に残るのは「GI(静止画)」モードだけとなります。
ところが、実は「GI(静止画)」モードでもカメラアニメーション的な使い方ができるのです。
それがこの「自動読み込み」オプションです。
自動読み込みオプションをチェックすると、既にあるキャッシュ(プレパス計算の結果、テクスチャのようなもの)に関しては、
再計算せずその照明がそのまま使われます。
つまり、オブジェクトや照明が変化しても照明は変化せず、その代わり「画面のふらつき、ちらつき」も発生しないわけです。
ただし、キャッシュがない部分に関しては各NETクライアントが別個に追加計算するので「画面のちらつき」が発生します。
ということは、全てのフレームに対してプレパス計算を行い、「自動読み込み」オプションをチェックして
「GI(静止画)」モードでレンダリングすれば、原理的には「GI(カメラアニメーション)」モードと同じ絵ができるはずです。
しかし、それでは「40時間待つ」という欠点もそのままなので、今回は「3時間」にしました。
また、シーンを修正した後の再計算は行いませんでした。
このような手法によって、「GI(静止画)」モードと「GI(カメラアニメーション)」モードの中間的な画質の絵を、
どちらのモードよりも短い時間で生成できます。
実際、この「3時間」というのが十分だったのかどうかは私にもよくわかりません。
また、もちろんシーンによって最適値は大きく変わるでしょう。
しかし「3時間」というのが、「作業中に待てる時間の限界」だと私は思います。
---
最後に、アニメーション中にオブジェクトや照明が動く場合、この手法は使えません。
「GI(静止画)」モードで一枚一枚マジメにレンダリングする必要があります。
その場合、レンダリング時間は1枚当たり10分程度に伸びます(約7倍)。また、プレパスの計算が60〜80%ぐらいを占めるようになり、
ちらつきもそれなりに増えてきます。
オブジェクトや照明が動く場合のレンダリング設定は、上記の設定を元に以下のパラメータだけ変えて下さい。
1. GIの一般ページで、「拡散反射回数」を「4」回から「2」回に変更。
2. GIのIRページで、「ストカスティックサンプル」を「中」から「高」に変更。
3. 「最大レート」を「-1」から「0」に変更(「隣接補正を使う」オプションが入っていることを確認して下さい)。
4. 「半径」を「8」から「16」に変更。
5. GIのIRキャッシュページで、「自動読み込み」オプションを外す。
設定をさらに細かくしてレンダリング時間を伸ばせば当然ちらつきは減りますが、
1枚当たり30分ぐらいにしても完全に無くなるわけではありません。
そして、一枚30分というのは既に実用的なレンダリング速度ではありません。
というわけで、オブジェクトや照明が動くシーンに対してGIのアニメーションを作る場合は、
一枚10分の画像でクライアントの了解を取ってから仕事を受ける、方が安全だと思います。
Re: GIのアニメーションについて
その他の細かい要素について追加説明します。
1. 間接照明において、発光するマテリアルを使ったオブジェクトライトを、本当のライトに置き換える。
ライト周辺のちらつきはなくなりますが、それ以外の部分はほとんど変りません。
静止画ならオブジェクトライトのままでいいし、アニメーションの場合も余裕があったらやる、という程度の効果です。
2. コンポジットタグによるGIの調整
非常に重要です。これだけで、レンダリング時間を一桁短縮できます。
静止画でもアニメーションでも必ず指定して下さい。
3. オーバーサンプリングとGIポータル
これらの機能は非常に強力ですが、有効なシーンが限られています。
有効なのは、明るい部分が直接見えて、面積が小さく、数が少ない場合です。
逆に、明るい部分が隠れていたり、面積が大きかったり(全体の1/20〜30以上)、数が多い場合は効果がなく、
下手をすると「逆効果」になります。
というわけで、間接照明を多用した内観等では使えません。
4. 隣接補正を使う
私が書いた「照明基礎」のテキストには、「最大レートは-1でいい」と書いてあります。
つまり、「隣接補正を使う」オプションは使わなくていい、ということです。
ほとんどの場合はこれでいいのですが、オブジェクトや照明が変化する内観のGIアニメーションで、
オブジェクトの角や隙間のちらつきを抑えるには有効なのかもしれません。
レンダリング時間は30〜50%ぐらい伸びますが、確かに画質は改善します。
この機能を使わずに、その分ストカスティックサンプルやレコード密度の値を上げていっても画質は改善しますが、
どちらが得なのかはまだよくわかりません。ただし、そんなに大きな差はでません。
Last edited by tofuji on 2012年12月06日(Thu) 09時29分, edited 1 time in total.
Re: GIのアニメーションについて
それでは次に、どんなシーンにどんなGIモードを使えばいいかについて書きます。
1. 外観
外観は、拡散反射回数が1回でいい場合は「スカイサンプラー」モードを使います。
NETを使って、HDでも1枚1分程度でレンダリングできます。
2. 内観(カメラアニメーション)
内観は、2回以上の拡散反射回数が必要なので「IR(静止画)」モードを使います。
特にオブジェクトや照明が変化しない場合は、二つ前の投稿で書いたような方法によって、
「IR(静止画)」モードで、「IR(カメラアニメーション)」モードと同等の絵を短時間で得られます。
NETを使って、HDでも1枚1分程度でレンダリングできます。
3. 内観(オブジェクトアニメーション)
内観は、2回以上の拡散反射回数が必要なので「IR(静止画)」モードを使います。
オブジェクトや照明が変化する場合は、マジメにレンダリングするしかなく、またある程度のちらつきは発生します。
したがって、なるべくこのタイプのアニメーションが発生しないように絵コンテの段階から注意すべきです。
また、なるべくちらつきの目立たないようなデザインにすべきです。
例えば、間接照明、白くて大きな壁、細い隙間や折れた面などはちらつきが目立ちます。これに対して、
直接照明、グレーでテクスチャのある壁、曲面などはちらつきが目立ちません。
この場合、NETを使ってもHDで1枚10分程度のレンダリング時間が必要です。
結局1年半前にR12に対して書いたこのスレッドの最初の投稿と同じになりました。
この1年、R12とR13を使ってずいぶんGIのアニメーションを作りましたが、基本は変わらなかったわけで、
これからも変らないと思います。
Re: GIのアニメーションについて
R14で「スカイサンプラー」モードが無くなりました。
したがって、静止画、アニメーションともに実用的に使えるモードは「IR(静止画)」だけとなりました。
R14では「スカイサンプラー」が「IR」や「QMC」モードに統合されていて、確かにスカイサンプラーと同等の絵を描くことができます。
しかし、設定が面倒で、レンダリング時間が数倍に伸びるので「スカイサンプラー」と同様には使えません。
したがって、静止画、アニメーションともに実用的に使えるモードは「IR(静止画)」だけとなりました。
R14では「スカイサンプラー」が「IR」や「QMC」モードに統合されていて、確かにスカイサンプラーと同等の絵を描くことができます。
しかし、設定が面倒で、レンダリング時間が数倍に伸びるので「スカイサンプラー」と同様には使えません。
Re: GIのアニメーションについて
講習会の宣伝です。
講習会の「照明基礎」のテキストをR14用に書き直しました。照明基礎の後半はIBLに関する説明で、
以前は「オーバーサンプリング」を使って裏技的に表現していましたが、
R14では、「スカイサンプラー」と「IR(静止画)」モードを混ぜて表現します。
また、GIに関する細かい機能と、NETの使い方を説明する「GI基礎」という講座を新しく作りました。
昨年私は店舗、内装関係の仕事が多かったのですが、その全てでGIを使い、半分ぐらいでGIのムービーを作りました。
その経験をテキストにまとめてあります。
講習会の「照明基礎」のテキストをR14用に書き直しました。照明基礎の後半はIBLに関する説明で、
以前は「オーバーサンプリング」を使って裏技的に表現していましたが、
R14では、「スカイサンプラー」と「IR(静止画)」モードを混ぜて表現します。
また、GIに関する細かい機能と、NETの使い方を説明する「GI基礎」という講座を新しく作りました。
昨年私は店舗、内装関係の仕事が多かったのですが、その全てでGIを使い、半分ぐらいでGIのムービーを作りました。
その経験をテキストにまとめてあります。
Re: GIのアニメーションについて
講習会で作ったサンプルファイルを二つ公開します。
両方とも照明基礎で使っている部屋のシーンがベースになっていて、
GI基礎の講習でNETに流すために300フレームのアニメーションを追加したものです。
実際に講習会で流したファイルは作りも簡単で、レンダリング設定も荒いので、レンダリング時間は20分程度でした。
それに対して、ここにあるサンプルはいろいろと遊んだ結果ファイルの構造が複雑になり、
レンダリング設定も細かくしてあるので、レンダリング時間も100分程度にのびています。
両方とも、GIの計算は相当難しい部類に入りますが、特に変わった設定はせず、「IR(静止画)」モードで普通に計算しています。
また、両方ともフィジカルレンダラーを使い、モーションブラーをかけています。
また、右の球体の表面に筋を入れてあります。これは、表面がスムーズな球体のままだと回転していることが判らないからです。
1. 部屋の中にパスを描き、カメラを走らせたアニメーション。
ムービー
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... fuji_s.mp4
シーンファイル
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... 2_fuji.zip
1a. 黄色の球体がパスに沿って走るようになっています。カメラは、「smart_cam」というXPressoを使って球体の後を追いかけています。
smart_camはダイナミクスの一種なので、動きをキーフレームに固定しています。
1b. 黄色の球体にはヘッドライトがついていて、主としてこれが部屋を照明しています。天井のライトも弱く残っています。
2. 部屋全体を揺らし、ダイナミクスを適用したアニメーション。
ムービー
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... uji3_s.mp4
シーンファイル
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... _fuji3.zip
2a. 部屋自体は「振動」エクスプレッションで動かしています。
2b. 天井のランプは、クローンをソフトボディ化して表現しています。
ランプのチェーンが切れないようにダイナミクスの計算精度を上げています。また、チェーンやランプの質量をカスタマイズしています。
2c. ダイナミクスはキャッシュに固定してあります。
両方とも照明基礎で使っている部屋のシーンがベースになっていて、
GI基礎の講習でNETに流すために300フレームのアニメーションを追加したものです。
実際に講習会で流したファイルは作りも簡単で、レンダリング設定も荒いので、レンダリング時間は20分程度でした。
それに対して、ここにあるサンプルはいろいろと遊んだ結果ファイルの構造が複雑になり、
レンダリング設定も細かくしてあるので、レンダリング時間も100分程度にのびています。
両方とも、GIの計算は相当難しい部類に入りますが、特に変わった設定はせず、「IR(静止画)」モードで普通に計算しています。
また、両方ともフィジカルレンダラーを使い、モーションブラーをかけています。
また、右の球体の表面に筋を入れてあります。これは、表面がスムーズな球体のままだと回転していることが判らないからです。
1. 部屋の中にパスを描き、カメラを走らせたアニメーション。
ムービー
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... fuji_s.mp4
シーンファイル
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... 2_fuji.zip
1a. 黄色の球体がパスに沿って走るようになっています。カメラは、「smart_cam」というXPressoを使って球体の後を追いかけています。
smart_camはダイナミクスの一種なので、動きをキーフレームに固定しています。
1b. 黄色の球体にはヘッドライトがついていて、主としてこれが部屋を照明しています。天井のライトも弱く残っています。
2. 部屋全体を揺らし、ダイナミクスを適用したアニメーション。
ムービー
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... uji3_s.mp4
シーンファイル
http://www2.11moon.com/sample_files2013 ... _fuji3.zip
2a. 部屋自体は「振動」エクスプレッションで動かしています。
2b. 天井のランプは、クローンをソフトボディ化して表現しています。
ランプのチェーンが切れないようにダイナミクスの計算精度を上げています。また、チェーンやランプの質量をカスタマイズしています。
2c. ダイナミクスはキャッシュに固定してあります。
Last edited by tofuji on 2013年8月07日(Wed) 01時12分, edited 1 time in total.